相続の基礎知識
2020/12/23
目次
- ○ 相続人とは
- ・法定相続人
- ・遺言書が優先
- ○ 相続の対象となる遺産とは
- ○ 相続の承認と放棄
- ・(1) 単純承認
- ・(2) 限定承認
- ・(3)相続放棄
- ○ 相続の承認と放棄
- ・(1)指定分割
- ・(2)協議分割
- ・(3)審判分割
相続人とは
法定相続人
遺言書がない場合は、法定相続人が相続を行います。
法定相続人は民法により範囲・相続順位や相続分が定められています。
●相続人が配偶者のみの場合
配偶者が全て相続します(配偶者は常に相続人たりえます)
●相続人が配偶者と子供の場合
配偶者と子供、ともに1/2ずつ相続します。子供が複数いる場合は1/2を均等に分配します。子供がすでに死亡している場合は、さらにその子供が相続します(代襲相続)
●相続人が配偶者と父母の場合
配偶者が2/3、父母が合わせて1/3を相続します。父母がともに健在の場合は1/3を均等に分配します。
●相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合(※子も父母もいない場合のみ)
配偶者が3/4、兄弟姉妹が合わせて1/4を相続します。兄弟が複数いる場合は、1/4を均等に分配します。
●配偶者がいない場合
子、父母、兄弟姉妹が残された場合は、子供が全てを相続します。
遺言書が優先
遺言書で特定の人に相続させることを指定してある場合は、遺言書の内容が優先されます。
ただし、子供や父母などの兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」が定められています。もし仮に遺言書で全てを第三者に遺贈するよう指定してあったとしても、遺留分減殺請求をすることによって、遺留分を受取ることができます。
相続の対象となる遺産とは
【相続の対象】
相続開始のときに被相続人が有した財産上の権利義務のすべて(民法896条)
土地や建物などの不動産、家具・書画骨董品・自動車などの動産、現金や預貯金、株券などの有価証券、ゴルフ会員権、特許権などの権利、そして借金やローンなどの負債がこれにあたります。
ただし、以下のものは除かれます。
・被相続人の一身に専属したもの(扶養請求権等)
・系図、祖先を祭る道具、墓地などの権利
・遺贈の対象となったもの。
生命保険金請求権は相続財産に含まれません。つまり、相続を放棄しても受取人として保険金を受け取ることはできます。相続人が限定承認をした場合、被相続人の債権者は保険金から弁済を受けることはできません。
※ただし、相続税では保険金額を相続財産とみなし課税の対象となります。
相続の承認と放棄
相続する遺産の内容によっては、その全てを相続しないという選択もありえます。例えばマイナスの財産である多額の負債がある場合です。その場合は3ヶ月以内に限定承認あるいは放棄の申し立てをします。
承認・放棄には、以下の3種類があります。
(1) 単純承認
財産の全てをそのまま相続することで、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続することになります。
このための手続きは特に必要なく、何もしなければ単純承認したとみなされます。
(2) 限定承認
プラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産も相続する方法です。プラスの財産で払える分だけ借金の返済をするような場合がこれにあたります。相続財産の額や種類が判明するにはある程度の日数がかかりますので、プラスの財産よりマイナスの財産の方が多い可能性がある場合に有効な手段です。
限定承認は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申し出る必要があります。
(3)相続放棄
何も相続しないという方法です。マイナス財産が多い場合や、財産の承継をまったくしたくない場合、相続放棄します。
限定承認と同様、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要がありますが、限定承認と違って単独で行うことができます。
※限定承認、単純承認のどちらもしないまま、相続開始を知った日から3ヶ月が過ぎた場合は、単純承認として扱われます。
※相続財産の一部を使ったり処分してしまった場合も単純承認とみなされます。
相続の承認と放棄
(1)指定分割
遺言書により被相続人が指定した場合がこれにあたります。
遺言書は法的に保護されていますが、故人の意思を尊重するという意味でも、遺言書荷分割の方法が指定されていればそれに従うことがはじめに考えられます。
ただし、遺言書の指定と別の分割方法を相続人全員一致の上で決定した場合は、その分割方法も可能となります。もし反対する人が一人でもいれば、遺言書に従う必要があります。
(2)協議分割
相続人同士が全員で話し合い一致の上、分割方法を決定します。
これを「遺産分割協議」といいます。話し合いの結果協議が成立したら、その内容をまとめた書類を人数分作成し、相続人全員が署名し実印で捺印します。これは「遺産分割協議書」といい、相続人が各自で保管します。
トラブル防止や、財産の名義変更時のためにとても大切なものです。
(3)審判分割
指定もなく、協議もうまくいかなかった場合は家庭裁判所の審判にゆだねられます。